看取り介護といっても介護士が日常的に行うケアは基本的には変わりません。言い方はよくないかもしれませんが、人間はいつ死ぬかわからないわけですから、そのときまではできるだけ日常と変わらない生活を送るのが理想的なわけです。過剰に「最期を看取る」を意識しすぎてしまうとかえって相手に死を意識させてしまうことになりかねないので注意が必要です。
ですから健康状態に応じて排泄・食事・入浴の介助、散歩などの気分転換、バイタルチェックや衛生状態の維持などが基本的な仕事内容となります。ポイントとしては本人の希望をどれだけ聞くかが挙げられます。
看取り介護を受けている人が「やりたくない」と思っていることを健康上必要だからといって無理にやらせる必要があるのか、逆に健康上あまりよくないことでも「やりたい」と思っていることをやらせるべきなのか。特別な仕事内容はない一方でこうした「さじ加減」が仕事における重要な部分となるでしょう。この点は介護士個人の判断ではなく必ずスタッフ全員で話し合って決めることになります。
もうひとつ看取りケアならではの仕事内容としては利用者が健康上の理由で苦痛を感じることがあるときにそれを緩和するためのケアを行うことです。体位や姿勢、呼吸困難、体の冷えなど、相手の心身両面の健康状態をしっかり把握したうえでできるだけ苦痛を取り除いてあげられるようなケアが求められます。
さらに利用者だけでなく、その家族に対するサポートも重要な仕事内容に含まれるでしょう。利用者の日頃の様子をこまめに報告したり、最期の時が訪れた時にどうすればいいかなどを話し合っておくなど、密接なコミュニケーションも求められます。あとは危篤状態など最期の時が訪れたと際に医療機関に連絡するなどの対応なども挙げられます。